日々のひとこと日記

60代主婦。日々の思いを綴っていきます。

山田太一さん

先月、脚本家、山田太一さんが亡くなった。


「岸辺のアルバム」

「男たちの旅路」

「想い出作り」

「不揃いの林檎たち」


さっと言えるだけでも、これだけのドラマがある。


山田太一さんの、熱心なファンというのではないけれど、どのドラマも夢中で見た覚えがある。


「岸辺のアルバム」は、私が高校の頃のドラマ。主題歌のジャニスイアンの歌も大好きだった。


当時は、不倫、予期せぬ妊娠、家族の不和…を、こんな角度からドラマ化するのは、珍しかった。


刺激的な内容ということばかりではない。


こんな角度とは、出来事そのものより、何故こんなことになったのか、そして、それは、本当にいけないことなのか。


などを、見るものに考えさせるのである。


一方的に悪いとも良いとも言わない。


妙にドラマチックにしないし、どこかが、等身大なのだ。


どの作品をみても、みな、それぞれの日常の中で悩んだり苦しんでいる。



このままでいいのか。


何故、こんなふうになってしまうのか。


その苦しみは、どこからきているのか。


その人間がダメだって、誰が決めるの?



登場人物たちは、紆余曲折の末、自分の中に気づきを見いだしていく。


小さな変化ではあるけれど、昨日より少しだけ前進した明日を迎える。


すごく大雑把だけど、こんなドラマ展開が多い。



悩みは、一見、個人的なもののように思えるけれど、実は、その時々の取り巻く社会の影響を強く受けていたりする。


いつだって危うい社会、それに影響される私たち。


山田太一は、そんな私たちに寄り添って、作品を作り続けてきたのではないだろうか。


先日、NHKのクローズアップ現代で、是枝裕和監督が、ゲストで氏を語っているのを聞いてふとそう思ったのだ。


年老いてなお、温和な表情にみる眼光の鋭さは変わらなかった。たくさんの感謝を送りたいと思う。