本 : 『ぼけますから、よろしくお願いします。』
『ぼけますから、よろしくお願いします。』という題名の本を読んだ。
映像、ディレクターの仕事をしている娘さんが、郷里の認知症の母のことを書いた本。
以前、映画も観た。
もちろん、娘さんが制作したものである。
少しずつ進んでいく、母の認知症。
それを、見守り母の世話をする90歳を越えた父。(父の対応が素晴らしい!)
様々な葛藤を抱える著者である娘。
家族は皆、思いやりが深く仲が良い。
認知症、介護の話だけれど、私には、素敵な家族、素敵な親子、素敵な夫婦のドキュメンタリーに思えた。
私も、母の認知症の介護をしたので、様々な苦しさは、手に取るようにわかった。
文中にある『介護は、親が命懸けでしてくれる最後の子育て』の一文は、私もほんとうに、そうだと思った。
私たち夫婦にも、いつかは
どのような形かは、わからないけれど
必ず訪れるだろう、その時。
その時に、どうするか。
なんてことではない。
窮地では、隠しようもなく、その人自身が、人との関係が、それまでの生きざまが、良くも悪くも、はっきりと露呈されるものだから。
私は、それが、この本のように、苦しくても、思いやりとぬくもりに溢れるものであって欲しいと思う。
上手く言えないけれど、子供等にとっても、そんな時間(私たちの介護?私たちの世話?)であって欲しいのだ。
しっかりと、私たちからのメッセージのようなものを彼らなりに受けとって欲しいと願っている。
私が母から『最後の子育て』をしてもらったように、それが、子供等にとっても、生きる糧のひとつになればと思うのである。